トピック
Topic企業法務「改正景表法の概要について」
先般、ホテルや百貨店、レストラン等において、メニュー表示と異なった食材を使用した料理が提供されていた事案が相次いで発生したことを記憶されている方も多いかと思います。
これをきっかけに講じられた規制強化の1つとして、平成26年6月に、消費者庁より不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」といいます)等の一部を改正する等の法律(以下「改正法」といいます)が公布されましたので、その概要を解説します。
(1)事業者のコンプライアンス体制の確立
まず、事業者のコンプライアンス体制の確立として、事業者は表示等の適正な管理のため必要な体制の整備その他の必要な措置等を講じなければならないこととされ、事業者が講ずべき措置に関して必要な指針を内閣総理大臣が定めることとされました(第7条)。
また、内閣総理大臣は、事業者が講ずべき措置に関して必要である場合には、指導・助言を行い、必要な措置を講じていない事業者に対しては勧告(勧告に従わないときは公表)を行うことができる、とされました(第8条の2)。
(2)情報提供・連携の確保
民間による、問題事案への対処の支援のために、民間団体(消費生活協力団体)等が、適格消費者団体(内閣総理大臣によって認定を受けた団体であり、景表法の違反行為に対する差止請求権が認められている団体)に対して、不当表示等に関する情報を提供できることとされました(第10条)。
また、国、地方公共団体、国民生活センター等が、必要な情報の交換その他相互の密接な連携の確保に努めることとされました(第15条)。
(3)監視指導態勢の強化
迅速かつ的確な法執行の推進を図るために、消費者庁長官の権限の一部(立ち入り検査等の調査権限)を、必要に応じて、事業所管大臣等に委任できることとされました。
加えて、国と地方との密接な連携を確保して、問題事案に的確に対処できるようにするために、消費者庁長官の権限の一部(措置命令権限等)を都道府県知事に付与することができるとされました(第12条)。
(4)課徴金制度の検討等
改正法の施行後一年以内に、課徴金制度の整備について検討を加え、必要な措置を講じることとされました。
消費者庁によれば、この課徴金は、食材の虚偽表示など、商品やサービスが実際より著しく優れていると誤解させたり、「得をする」と思わせたりした表示に関して措置命令を受け、注意を怠ったと認められる事業者に科すことを予定しているようです。
なお、事業者が国民生活センターに寄付をすれば課徴金を免除・減額する仕組みも検討されていたようですが、この仕組みについては平成26年10月3日に消費者庁より撤回されたようです。
この改正法は、公布日(平成26年6月13日)から起算して6か月以内に施行されます。消費者向けに商品やサービスを供給する事業者の方々には重要な改正となりますので、改正法の内容や、今後定められるガイドライン等を理解した上で、準備を進めておく必要があります。