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コラム2020.10.23
親なき後の財産管理
以前から、障がい者施設を運営する社会福祉法人の仕事をしていますが、施設利用者の中には「親なき後の財産管理」に不安を抱く方が少なくありません。
これは、例えば、知的障がいのあるB君の財産を管理している父親のAさんが亡くなった後、B君の財産は誰がどのように管理するのか、という問題ですが、法的には次のような方法があります。
①遺言
Aさんは、生きている間に、遺言により財産の処理方法を定めることができます。例えば、B君の財産管理者を指定したり、B君が取得する遺産を増やしたり、内容を特定する(居住用建物など)などです。
②成年後見人
成年後見人とは、判断能力が不十分で財産を管理できない人のための財産管理人であり、家族からの申し立てにより家庭裁判所が選任し、その監督を受けながら財産の管理を行います。
Aさんは、生きている間に、B君の成年後見人を選任してもらい、B君財産管理をしてもらうことができます。兄弟など親族のほか、弁護士や司法書士が選任される場合もあります。
③民事信託
民事信託とは、信頼できる人に財産の名義を移して、その人に財産の管理や運用・処分などを任せる制度で、契約や遺言ですることができます。
Aさんは、親せきのC氏と信託契約を結んで、B君の財産の名義をC氏に移し、B君の生活のため財産を管理し、毎月の生活費を渡すなどの運用をしてもらえます。
こうした「親なき後の財産管理」に限らず、近ごろ、司法の分野で「司法ソーシャルワーク」という言葉が使われています。これは、司法関係者が、行政や福祉機関などと連携を取りながら、障がい者や高齢者、その家族の抱える法律問題の解決をめざす、という取り組みですが、当事務所としても、今後、こうした動きに積極的に取り組んでいきたいと思います。