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コラム2020.10.09
革靴と修行
前回の靴磨きのお話に続いて、今回も革靴ネタを。
革靴を買うとき、サイズでとても悩みます。革靴にはいくつかの製法があるのですが、グッドイヤー・ウェルト製法で作られた革靴は、インソール(中底)とアウトソール(本底)の間にコルクが敷き詰められており、この詰められたコルクは、履き込むにつれて持ち主の足の形に合わせて沈み込んでいきます。また、アッパーの革(足の甲側の革)は、履いていくうちに若干伸びていきます。
あるフランスのメーカーはきつめのサイズを薦めることで有名で、このメーカーには昔から変わらないデザインで愛されているローファーがあります。このメーカーのローファーは比較的良く沈み込むこともあり、履き込んで自分の足の形と一体となると、それはそれは極上の履き心地となるようです。自分の足の形と一体となった状態をもって、「革の靴下」と呼ばれることもあるほどです。
最初はきつくても、それに耐えて履き続ければ極上の履き心地が待っている、、、私も極上の履き心地に憧れて、きつめのサイズを選ぶようにしています。でもこれがまた辛い。おろしたての靴は3時間と履き続けることはできません。激痛が走り、30分でギブアップした靴もありました。夕方になると足がむくんで一層きつくなり、足を引きずりながら帰ることも珍しくありません。「極上の履き心地」というワードに目が眩んできついサイズを攻めすぎたのか、お店では履けたのに自宅に持ち帰って履こうとしたら足が入らず、サイズを交換してもらったこともありました。このコラムも足のしびれと格闘しながら書いています。
文字におこすと何をやっているんだという気がしてきますが、極上の履き心地を夢見てめげずにタイトな革靴を履き続ける、そんな修行の日々を送っています。