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コラム2020.09.11
被告と被告人
先日、法律相談をしている際に、突然、「私は逮捕されるのでしょうか?」という事を聞かれたことがありました。相談の内容は、民事の裁判のことでしたので、当然、逮捕されるようなことはありませんので、なんで、そんな心配をしたのか、不思議に思い、よくよく聞いてみると、裁判所から届いた訴状の中で、「被告」という言葉があったので、刑事裁判の「被告人」になってしまったのかと、不安だったとのことでした。
「被告」と「被告人」の違いについて、意外と間違っている方もいるのではないかと思い、今回、取り上げさせて頂くことにしました。
まず、「被告」ですが、これは、私人間の権利義務の有無を巡っての争いを扱う民事裁判(売買代金を払って欲しいとか、貸したお金を返して欲しいという類の争いです。)で訴えられた人を指します。
他方、「被告人」は、犯罪をした疑いのある人について、本当に犯罪を行なったのかどうかを判断する刑事裁判で起訴された人を指します。
このように、「被告」と「被告人」は、本来、全く別物になのですが、どういうわけか、テレビニュースや新聞等では、刑事事件の「被告人」に対して、「〇〇被告」という表現が使われることが非常に多いようです。
今回、このテーマを取り上げるにあたって、何故、このような使われ方がされているのか、その理由を調べてみたところ、「被告人」という単語の響きが非国民という音を連想させるから、「被告」という表現を使うことにしている等、幾つかの説があったのですが、どれも説得的とは思えず、結局、その理由は良く分かりませんでした。
少し脱線してしまいましたが、「被告」と「被告人」の違いは分かりましたでしょうか。