横浜綜合法律事務所

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コラム2020.07.17by 榎本 ゆき乃

恋文の公開

先日、日本経済新聞に、作家遠藤周作が恋人に宛てて書いた手紙が見つかったとの記事が掲載されていた。しばらく前にも、川端康成や谷崎潤一郎の同じような記事を見たことがある。著名な作家になると、最もプライベートな恋文までが研究対象となり、そして、一般に公開されてしまう。当の本人たちは、これをどう思うのか。こんなことなら、もう少し考えて書けばよかったと考えるのではないだろうか・・。ただ、羞恥心を感じるのではないかと思うのは一般人的感覚で、偉大な作家は、小説などの作品自体が自身の魂の暴露であるから、恋文が公開されようと特段なにも思わないのかもしれない。

また、マリリン・モンローの2番目の夫であるジョー・ジマジオがモンローに宛てて書いたラブレターが競売により1000万円で落札された、との記事も見たことがあるが、これを本人たちがどう思うのかも別の意味で興味深いところである。

これらを法的に考えてみると、「プライバシー侵害」というのが頭に浮かぶが、著名人であるということを除いても、そもそも死者のプライバシーは認められるのかという問題もある。また、個人情報保護法の保護対象は「生存する個人」に関する情報であるため、保護される個人情報にはあたらない。ということは、自分が生きている間に自分で始末しておく必要があるということである。忘れてなければ、だが。

一般人にとってはラブレターが公開されるなどというのはいらぬ心配だが、最近では、メールやラインの内容が裁判の証拠となることはよくあることであり、国会でも話題である。メールやラインは手軽であるため、そう深く考えもせずにやり取りがなされ、そして残ってしまう。後悔しても後の祭りである。ただ、よくよく練って作成した手紙の方が、後々見ると、赤面するかもしれないので、どちらがいいとも言えないが・・・。また、リベンジポルノなど深刻な事態も問題になっている。
いずれにしても、自己の情報の管理には細心の注意が必要である。