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横浜綜合法律事務所 研究会・セミナー
発表テーマ

弁護士:榎本 ゆき乃

2014.02.22

遺産分割にまつわる諸問題~近時の横浜家庭裁判所における遺産分割事件の運用と不動産の相続にまつわる問題についての検討。

発表概要
  1. はじめに
  2. 近時の横浜家庭裁判所における遺産分割事件の運用平成24年4月に遺産分割専門部が創設されて以降の遺産分割事件(調停、審判)の実際の運用について、経験を踏まえて報告した。
  3. 使用貸借と相続親子間等で土地建物を無償で利用させている場合も多いが、その場合、相続がなされると無償利用関係はどうなるのか、また、遺産分割にはどのような影響があるかについて、検討した。なお、このような場合、一部の相続人が長年無償利用してきたことについて他の相続人が不公平感を有している場合も多く、問題となりやすい。
    1. 使用借権の承継本来、使用貸借契約においては借主の死亡により契約は終了する(民法599条)が、不動産においては、人の生活の基盤という特質があることから、例外として使用借権の承継が認められる場合があり、裁判例を紹介した。
    2. 使用借権と特別受益被相続人所有の土地を、長年無償で使用してきた場合、この使用借権は、生計の資本としての贈与として特別受益にあたり、更地価格の1~3割と評価されることがある。ただ、持ち戻し免除の意思表示が認められることも多いようである。
  4. 相続開始後遺産分割までの間の不動産の管理・使用について
    1. 一部の相続人が相続財産である不動産を占有している場合明渡請求および金銭請求の可否について、判例を紹介して検討した。①居住用建物に②被相続人の承諾を得て同居していた場合などには、相続開始を始期として遺産分割時を終期とする始期付き使用貸借契約が成立するとして、金銭請求を否定した判例がある。
    2. 共同相続財産である不動産から生ずる賃料債権の帰属について考え方が分かれていたが、最高裁判例(平成17年9月8日)では、①共同相続財産である賃貸不動産から生ずる賃料債権は、遺産とは別個の財産であって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するとし、②遺産分割は、相続開始時に遡ってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないとされた。
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