事業再生とは、事業者が債務超過状態や資金繰りが困難になった場合に、そのまま会社を清算するのではなく、債務の一部免除やリスケジュール(返済の繰り延べなどを言います)を行いながら、事業を再構築することを言います。
事業再生の方法としては、大きく、
に分けられます。
私的再生は、倒産状態にある会社の再建を、法的再生のような裁判所の関与なしに行う手続です。法的再生手続と異なり、議決によって債権者の権利に変更を加えることができないので、個別に債権者と交渉し示談、和解によって権利の変更を行い、再生を図ることとなります。
私的再生の手続は、各債権者との合意によって再生を果たしていく手続であり、合意するための特別決まった方法というものはありませんが、私的再生手続に位置付けられるものとして、
があります。
特定調停手続は、裁判所による手続ですが、特定の債権者を対象として、裁判所が借主と貸主その他の利害関係人との債務の調整を仲介し、借主が経済的再生を図ることを支援する手続であることから、私的再生手続の一類型として位置付けられております。
特定調停手続は、
が、特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述をすることができます。
裁判所への申立がなされると、調停の期日が指定され、その期日に債務者、債権者、事案に応じて裁判所が選んだ専門的な知識、経験を有する調停委員により組織された委員会のメンバーが集まり、合意に向けて話し合いを行います。
当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したとき確定判決と同一の効力を有し、その効力は調停の当事者に及ぶことになります。
なお、調停委員会や裁判所が構成妥当な調停の成立に向けて積極的に関与することを認めており、事件解決のため調停委員会が当事者に対し調停条項案を提示したり、裁判所が職権で必要な決定(17条決定)を行うことがあります。
法的再生手続と私的再生手続を比較した場合、一方のメリットは他方のデメリットという側面があります。以下に特色を整理しましたのでご参照下さい。
特色 |
法的再生手続 |
私的再生手続 |
---|---|---|
手続の透明性・公平性 |
透明かつ公正 |
不透明・不公正になるおそれあり |
企業価値の維持 |
倒産手続であるため、企業価値が損なわれる場合がある |
取引先との関係を維持することができ、企業価値の毀損を抑えることができる |
手続の簡易・迅速性 |
手続が厳格に法定されており、時間がかかる |
簡易・迅速な手続 |
一部の債権者の反対 |
債権者の多数決で弁済計画が実現 |
債権者の全員の同意が必要 |