担保額について
仮処分命令や仮差押命令(併せて「保全命令」といいます)を裁判所が出すに当たっては、その手続を申し立てた債権者に、担保を立てさせることがあります。
これは、違法な保全命令または保全執行によって、債務者に損害が生じた場合に、債務者の損害賠償請求権を担保するためのものとなります。
すなわち、保全命令は、基本的に債権者の一方的な主張に基づいて被保全権利が疎明されることにより発令されるものですので、その後の本案の訴訟において、債務者の反論等により被保全権利が認められない可能性もあります。この場合には、債務者は不当な保全命令により財産の処分権を制限されていたこととなりますから、保全命令を申し立てた債権者に対して、保全命令により生じた損害の賠償請求をすることができることとなります。担保金は、その損害賠償の引き当てとなる金銭となります。
保全命令を発令するに当たって、担保を立てさせるか否か、立てさせるとしてその額をいくらにするかは、裁判所が自由裁量で決定することとなりますが、その際には、保全命令によって債務者に生じる可能性のある損害の額や、本案の訴訟において債権者が敗訴する可能性が考慮されることとなります。
なお、賃金の仮払いを命ずる仮処分、交通事故による損害賠償請求権を被保全権利とする生活費・医療費の仮払いを命ずる仮処分等においては、債権者の生活上の困窮を勘案した結果、無担保で保全命令が発令されることがあります。
このように、保全命令の発令に当たって、担保を立てることが求められるか否か、また、その金額については、個別具体的な事案により判断されることとなりますので、より詳細な見通しを把握されたい方は、私たち弁護士にご相談下さい。
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