横浜綜合法律事務所

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労働問題

よくあるご相談

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解雇の法律上の制限について教えて下さい。
解雇は原則として使用者の自由ですが、それが法律上の制限に違反する場合や、権利濫用(労働契約法16条)にあたる場合には無効となります。解雇の法律上の制限には、例えば、次のようなものがあります。
  1. 労働者が労働委員会等へ申立てを行ったことを理由とする解雇の禁止(労働組合法7条4号)
  2. 業務上の負傷・疾病による休業中、産前産後休暇中、及び、その後30日の解雇禁止(労働基準法19条)
  3. 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇の禁止(労働基準法3条)
  4. 監督機関に対する申告を理由とする解雇の禁止(労働基準法104条2項)
  5. その他、育児介護休業法10条及び16条、男女雇用機会均等法9条など
どのような場合に解雇権の濫用として普通解雇が無効となるのでしょうか?
労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と規定しています。「客観的に合理的な理由」を欠くかどうか、また、「社会通念上相当」性を欠くかどうかについては、明確な一律の基準が存在するわけではなく、当該事案の具体的な事情に即して個別に判断されるものであり、ケースバイケースです。詳しくは弁護士にご相談下さい。
整理解雇はどのような場合に解雇権の濫用として無効となるのでしょうか?
整理解雇についても、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」との労働契約法16条の規定が適用されます。そして、特に、整理解雇の場合には、解雇権の濫用になるか否かの基準として、次の4つの要件が、数多くの裁判例により確立されています。整理解雇の有効性については、かかる4つの要件が検討されるべき重要な要素となります。
  1. 人員削減の必要性が存在すること
  2. 解雇を回避するための努力が尽くされていること
  3. 解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること
  4. 事前に説明・協議義務を尽くしたこと
就業規則がなければ解雇はできないのでしょうか?
雇用契約の性質上、使用者は、本来的に従業員を解雇する権限を有しています。ですので、就業規則の不存在によって当然に使用者の解雇権がなくなるというものではなく、使用者が解雇権を放棄していると認められるような特段の事情がない限りは、使用者には解雇権があるものと考えられています。もっとも、使用者に解雇権があるからといって解雇が当然に有効となるわけではありません。使用者に解雇権があっても、解雇が法律上の制限に違反する場合や権利濫用(労働契約法16条)にあたる場合には無効となります。
無断欠勤を繰り返した労働者を即時解雇したものの、解雇予告手当の受領を拒否されたのですが、解雇できないのでしょうか?
解雇予告手当を振込みまたは供託するなどして解雇することは可能です。ちなみに、そもそも解雇予告手当を支払わないでなされた解雇通告でも、通知後30日経過後に解雇の効力が発生すると解されています。
整理解雇直後に新規採用を行っている場合、解雇は無効となるのでしょうか?
整理解雇については、「整理解雇の4要件」が一般的に確立しており、その4要件のうちの「人員削減の必要性が存在すること」の要件を満たすかが問題となります。整理解雇前後に、パートタイマー・アルバイトの採用や、新卒者の採用がなされていたりすると、人員削減の必要性について疑義が生じざるを得ないと考えられます。特に、整理解雇直後に新規採用がなされていると、通常、人員削減の必要性の存在について合理的な説明はなかなか困難なのではないかと考えられます。そうとは言え、当然に解雇が無効となるとも一概には言えません。個別具体的な事情により、新規採用が人員削減という施策と矛盾しておらず不合理とは言えない場合には、人員削減の必要性が否定されるわけではなく、事案によっては、解雇が無効とならないこともあると考えられます。
誤って情報漏洩してしまった従業員を懲戒解雇にすることができますか?
特に、就業規則上の懲戒事由に該当するか(該当性)、また、当該行為と処分とが釣り合っているか(相当性)を慎重に検討する必要があります。懲戒解雇は、懲戒処分の中でも特に一番重い処分であって、労働者に極めて大きな不利益を及ぼすものですから、特に相当性が認められるためには、個別具体的な事情に照らし、当該行為を行った労働者を懲戒解雇にしたとしても過酷とまでは言えないことが必要になってくると考えられます。このケースでは、「意図的に情報漏洩した」というわけではなく「誤って情報漏洩してしまった」ということですので、漏洩した情報の重要性の程度にもよるとは思いますが、これだけで、突如、懲戒解雇というのは、労働者に過酷に過ぎるのではないかとも思われ、相当性という観点から懲戒解雇とするには問題があると考えられます。
社内不倫を理由に解雇できますか?
特に、就業規則上の懲戒事由に該当するか(該当性)、また、当該行為と処分とが釣り合っているか(相当性)を検討する必要があります。社内不倫については、多くの会社の就業規則に記載されている「社内の秩序・風紀を乱し、またはこれを乱すおそれがある場合」、「著しく素行不良の場合」などといった懲戒事由の該当性が問題になると考えられます。また、個別具体的な事情に照らし懲戒解雇とすることが過酷に過ぎるかどうかという点で相当性が問題になると考えられます。一般的に考えて、社内不倫によって社内の秩序・風紀に具体的な問題が発生している場合は別として、そうでない限りは、社内不倫だけを理由として懲戒解雇とするのは、該当性・相当性のいずれにおいても問題があると考えられます。

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