よくあるご相談
- 配転命令はどのような場合でも従わなければならないのですか?
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いいえ。配転命令が有効と言えるためには、配転命令権について労働契約上の根拠があることが必要であり、また、その配転命令権の範囲内であることも必要です。特に、職種や勤務地が限定されている労働契約の場合には、配転命令権もその範囲に限定されています。また、強行法規に違反する配転命令も無効ですし、配転命令権の濫用となる配転命令も無効となります。そして、配転命令が無効となる場合には、本来的には配転命令に従う必要はないことになります。
- 配転命令権の根拠や範囲はどのように定まるのですか?
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通常、配転命令権は、就業規則や労働協約の規定が根拠となります。また、通常、配転命令権の範囲については、労働契約又は労働協約の規定で明記されている場合にはそれによりますが、そうでないときは、就業規則や労働協約の規定、企業内慣行、労働契約締結時の状況などから合理的に判断されます。例えば、かかる諸事情に照らして、職種や勤務地が限定されていると解される労働契約の場合においては、その限定された職種・勤務地の範囲が、配転命令権の範囲ということになります。
- 配転命令権の根拠がありかつその範囲内であれば配転命令は当然に有効となるのでしょうか?
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配転命令が配転命令権の範囲内であっても、権利濫用にあたる場合には、配転命令は無効となります。権利濫用にあたるかどうかは、通常、配転の業務上の必要性の程度と、配転によって労働者が被る不利益の程度とを比較衡量して判断されます。
- 配転命令が権利濫用にあたるか否かについての判断要素を教えて下さい。
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権利濫用にあたるかどうかの判断要素としては、一般的には、①業務上の必要性があるかどうか、②配転命令が他の不当な動機・目的をもって行われているかどうか、②労働者に通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせるかどうか、といったものが挙げられます。
- 無効な配転命令に従わなかったことで解雇されたら解雇は有効となりますか?
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無効な配転命令に従わなかったことを根拠に業務命令違反で解雇しても、それは前提を欠く無効な解雇となります。
- 無効な(問題があると思われる)配転命令に対してどう争えばよいですか?
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配転先に赴任しないと解雇等の何らかの不利益処分が行われる可能性がある場合には、解雇等を回避するために(新たな問題の発生を回避するために)、配転に対する異議を留めた上で(異議を留めた事実を証拠として残すために内容証明郵便によって行うべきです)、配転先に一応赴任し、その上で、配転命令の効力を争うという方法もあります。無効な配転命令を前提に業務命令違反で解雇されたとしても、かかる解雇は前提を欠く無効な解雇となりますが、無効な解雇であったとしても解雇されれば事実上賃金収入が途絶えてしまいますし、また、無効な配転命令であると完全に言い切れるケースは実際はそう多くはないので、慎重に対応する必要があります。
- 出向命令はどのような場合でも従わなければならないのですか?
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出向命令が有効と言えるためには、出向命令権について労働契約上の根拠があり、かつ、その出向命令権の範囲内であることが必要です。また、強行法規に違反する出向命令は無効となりますし、さらに、出向命令権の濫用になる出向命令も無効となります。出向命令が無効となる場合には、本来的には出向命令に従う必要はないことになります。
- 出向と転籍の違いは何でしょうか?
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出向とは、雇用先企業の従業員としての地位を保持したまま、他企業の事業所において相当長期間にわたり当該他企業の労務に従事させる人事異動を言います。他方、転籍とは、雇用先企業との現在の労働契約関係を終了させて、新たに他企業との間に労働契約を成立させ、当該他企業の業務に従事する人事異動のことを言います。
このように、出向は、現在労働契約関係にある企業との労働契約が継続するのに対して、転籍は、現在労働契約関係にある企業との労働契約が終了するという点において、両者は、決定的に異なります。なお、転籍については、原則として、労働者の同意が必要であり、労働者に強要することはできません。
- 出向命令が権利濫用となるのはどのような場合ですか?
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出向命令が権利濫用にあたるか否かは、配転命令の場合と同様に、出向の業務上の必要性の程度と、出向によって労働者が被る不利益の程度とを比較衡量して判断されます。例えば、労働者の家庭事情(家族の病気)を根拠として権利濫用としたケースや、出向先職務が従前職務とは著しく異なったケースにおいて当該労働者を人選したことに合理的理由がないとして権利濫用としたケースなどもあります。
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