労働関連法務について
労働関連法務としましては、雇用関係の成立時の問題、雇用条件に関する問題すなわち賃金や労働時間に関する問題、雇用関係が継続している時の問題すなわち人事や懲戒に関するもの、雇用関係の終了時の問題すなわち解雇など、多様なものがありますが、企業様より受けるご相談のうち、特に数が多いものは、問題のある従業員を解雇したい、解雇された従業員にその地位の確認を求める労働審判を申し立てられたなど、雇用関係の終了に関するものです。
この場合、企業の立場からすれば、解雇の要件を充足していることを立証できるかが問題となるわけですが、重要なことは、このようにトラブルが現実化する以前から、トラブルが生じないように、また、いざトラブルが生じた場合に自らの適法性を立証できるように、十分に準備しておくことです。
したがって、個々の従業員との関係で言いますと、その採用時における雇用期間の定め方あるいは合意の仕方などに注意を注ぐべきですし、従業員を集合体としてみた場合は、社内諸規程の整備や、同規程の適切な運用が大切となります。
雇止めが制限されるかどうかは、一定程度労働契約締結時の状況によって決せられますし、解雇の有効性も、それまでの懲戒処分の有無・内容や、その記録状況にも左右されることがあります。
未払残業代が請求されるケースも多く見受けられますが、その中には、相当な賃金を支払っていても、なお未払残業代の請求が認められるケースも少なからずあります。このようなケースを防ぐためにも、労働契約の内容を企業の立場からみて適切なものにしておくことや、社内諸規定等を整備しておくことが必要です。
従業員を抱えておられる企業様には、弁護士等にご相談いただくなど、一度現在の状況をチェックされることを強くお勧めいたします。
また、令和2年4月に改正民法が施行されますが、これに伴い企業として特に注意することが必要だと思われる点は以下のとおりです。
まず、従業員を雇い入れるにあたり、従業員が企業に損害を与えた場合に備えて、その従業員の親族などに身元保証を求めている企業もあると思いますが、その際に極度額を定めていないことが多かったのではないかと思われます。
この身元保証は、個人根保証契約にあたると考えられるところ、改正民法の下では、身元保証人の極度額を定めなかった場合には、身元保証契約は効力を生じないこととなります(改正民法465条の2第2項)。また、個人根保証契約は、書面で契約しなければその効力を生じないとされています(改正民法465条の2第3項、民法446条2項)。
次に消滅時効の改正にも注意が必要です。現行民法では、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は「3年間」とされていますが、改正民法では、人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、「5年間」(改正民法724条の2)と規定されています。企業の故意または過失により従業員の生命又は身体を害する不法行為が行われた場合には、消滅時効が「5年間」となりますので、注意が必要です。
法定利率にも注意が必要です。現在、商事法定利率は、年6%とされていますが、改正民法では、年3%と規定され、3年ごとに見直しを行う変動利率を採用する(改正民法404条2項)ことが規定されたことに伴い、商事法定利率は廃止されることとなりました。
令和2年4月に施行される民法改正の企業に対する影響は多岐にわたります。
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