損害賠償命令制度
損害賠償命令制度とは、ある刑事事件について審理を担当した裁判所が、被告人(加害者)に有罪の言い渡しをした後に、引き続き損害賠償請求についての審理も行い、被告人(加害者)に対して被害者への損害賠償を命じることができる制度をいいます。
刑事裁判と民事裁判は別物であるため、刑事裁判で被告人(加害者)が有罪となった場合であっても、被告人(加害者)に対して損害賠償請求をするには、別途、民事訴訟を提起して、被告人(加害者)の不法行為を立証する必要がありました。
しかし、損害賠償命令制度が新設され、犯罪被害者が被告人(加害者)に対して損害賠償請求をするにあたり、刑事手続の成果を利用できるようになりました。これにより、犯罪被害者は、被告人(加害者)の不法行為を一から立証する必要がなくなり、立証の負担が軽減されることとなったのです。
損害賠償命令制度を利用するには、刑事裁判中(弁論手続きが終了するまで)に、損害賠償命令の申立てをすることが必要です。
損害賠償命令の申立てをすると、被告人(加害者)に対して有罪判決が言い渡された後に、刑事裁判を担当した裁判官が、同じ刑事裁判記録に基づいて、引き続き損害賠償命令についての審理を行います。
裁判所は、審理の結果、被告人(加害者)に対して損害賠償を命じる決定を行います。この決定に対して異議が申し立てられた場合には、そのまま民事裁判の手続に移行することになります。
損害賠償命令の申立てから決定、そして民事裁判に移行した場合の手続については、弁護士に相談することをお勧めします。
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