管理費滞納について
管理費とは共用部分等の維持管理費用や管理組合の運営費などに要する費用であり、修繕積立金は修繕工事等に備えるために積み立てる金員であり、いずれも区分所有者が負担しなければいけません。
管理費や修繕積立金はマンションの維持管理に必要不可欠のものですから、これらの滞納は非常に深刻な問題です。
区分所有者の管理費等の滞納を放置すれば、滞納額が多額となり回収が困難となるほか、区分所有者間の不公平感を生みかねません。また、管理費等の時効は5年ですので、管理費等の滞納については、できるだけ早く手立てを打たなければなりません。
滞納している管理費等を回収する方法としては、管理組合員や管理会社から督促し、内容証明郵便にて請求することが考えられますが、滞納者が任意に支払いをしない場合には、支払督促の申立て、民事訴訟の提起が考えられます。そして支払督促や判決に基づき、滞納者の財産に対して強制執行をすることになります。
これらとは別に、区分所有法7条は、管理費等の債権について先取特権を認めていますので、先取特権に基づいて区分所有権及び動産の競売手続をとることもできます。
ただし、判決等に基づく競売や先取特権に基づく競売は、抵当権が設定されている場合には民事執行法の無剰余取消しとの関係から困難な場合が多いかと思われます。
ここで、区分所有法59条は、共同の利益に反する行為をした区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができると規定しており、管理費等の滞納をしている場合、この規定に基づいて競売の申立てができる場合があると考えられています。
同規定に基づく競売には、先程述べた無剰余取消しの規定は適用されないと考えられていますので、管理費滞納に対する実効性のある手段となり得ます。
また、管理費等を滞納している状態で区分所有権が譲渡された場合、滞納していた譲渡人に対してだけでなく、譲受人に対しても管理費等を請求することができます。
中古マンションを購入する場合、仲介業者は滞納管理費等の金額を重要事項説明書に記載しなければならないとされていますので、購入する際には、この点にも注意が必要です。
なお、譲受人が滞納管理費等を支払った場合には、譲受人は譲渡人に対して求償することができるとされています。
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