契約内容に適合しない建物について
請負契約に基づいて完成された建物が契約内容に適合しない場合、注文者は請負人に対し、契約の解除や建物の修補、請負代金の減額、損害賠償を請求することができます。
これまで、民法では、請負契約について、仕事の目的物に「瑕疵」がある場合における請負人の瑕疵担保責任を売買契約の瑕疵担保責任とは別に定めてきましたが、令和2年4月1日施行の改正民法では、請負独自の規定を削除し、売買契約に関する規定を準用することで、売買契約と統一的な定めになりました。
請負独自の規定として、改正前民法第635条ただし書きでは、建物その他の土地の工作物については、解除することの社会的経済的損失の大きさ等から、契約を解除することはできないとされていましたが、改正民法では、かかる規定は削除されており、建物その他の土地の工作物についても、債務不履行の一般的規律(改正民法541条)に基づき、解除することが可能となっています(改正民法564条)。
売買契約に関する準用し、請負契約の目的物が契約の内容に適合しない場合に、注文者は請負人に対し、契約の解除や損害賠償請求、建物の修補や請負代金の減額請求ができます(改正民法559条、562条~)。
このうち、建物の修補請求は、従来は修補に過分な費用を要する場合でも瑕疵が重要な場合は修補請求を求めることができましたが、現行民法では瑕疵が重要であっても過分の費用を要する場合は修補請求はできません。
契約の解除、建物の修補、請負代金の減額、損害賠償の請求は、注文者が、建物が契約内容に適合しないことを知ったときから1年以内に、請負人に対して、契約不適合の旨を通知して行う必要があります(改正民法637条)。この点、従来は引き渡しから原則1年以内とされ、材質に応じて5年又は10年に延長されていましたが、売買契約と同様の規律になっています。
ただし、建物が新築住宅の場合には、構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分に関する契約の不適合に限り、建物の引き渡しから10年間、契約の解除、建物の修補、請負代金の減額、損害賠償の請求ができるとされています(住宅品質確保法94条)。
また、注文者が請負人に過失があることを証明できれば、不法行為に基づく損害賠償請求をすることもできます。
設計者などの請負契約の当事者でない第三者についても、不法行為責任を問い得る場合がありますので(最高裁平成19年7月6日判決)、弁護士にご相談下さい。
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