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コラム2018.06.26
鈴木 心「『遠隔診療』の整備状況について」
「遠隔診療」とは、情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為をいい、「オンライン診療」とは、遠隔診療のうち、医師と患者との間において、情報通信機器を通じて、患者の診察及び診断を行い診断結果を伝達するなどの診療行為をリアルタイムで行う行為をいいます。厚生労働省等が制度の整備を進めている遠隔診療に関して、現在の整備状況に関して少しご説明させて頂きます。
従来、遠隔診療の対象となる疾患や地域が限定されていたため、遠隔診療が普及しにくい状況にあったのですが、平成27年に厚生労働省が上記の限定を緩和する解釈を示したことや、安倍内閣総理大臣が未来投資会議で遠隔診療の推進に関して言及したこと等により、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を用いたオンライン診療が急速に普及しました。現在では、通信アプリ「LINE」などでも診療できる診療機関もあり、いつでもどこでも医師による診察を受けることのできる時代が来たのだと実感します。
ただ、遠隔診療・オンライン診療は、直接の対面診療を補完するものであり、安全性、有効性といった「医療の質」を確保する必要があります。そこで、厚生労働省は、平成30年3月にオンライン診療の基本理念や倫理指針を規定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」というガイドラインを公表し、オンライン診療料といった報酬規程も新たに設けました。
上記ガイドラインを見る限り、まだまだ解釈の余地を残しており、今後の事例・意見の集積、安全性に関わる問題点の顕在化、技術革新に伴って、随時、患者のニーズと安全性確保の調和を図った遠隔診療の整備が進んでいくことになるでしょう。
果たして、数年後はどんな発展を遂げるのか、期待して見ていこうと思っております。