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債権回収・強制執行2013.12.12
債権回収・強制執行「保全命令の効力の及ぶ範囲について」
注目判例 最高裁判所 平成24年2月23日
仮差押命令に表示された被保全債権と異なる債権についても、被保全債権と請求の基礎を同一にするものであれば、当該仮差押命令は、その債権の回収を保全する効力を有すると判断された事例。
本件は、不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全債権として、債務者の第三債務者に対する債権につき仮差押命令が出されたものの、本案訴訟において、債権者が主位的に主張した前記損害賠償請求権は認められず、予備的に主張した貸金債権が認められたことから、当該仮差押命令が、貸金債権の実現を保全する効力を有するか否かについて争われたケースです。
これについて、裁判所は、「保全命令は、一定の権利関係を保全するため、緊急かつ必要の限度において発令されるものであって、これにより保全される一定の権利関係を疎明する資料についても制約があることなどを考慮すると、仮差押命令は、当該命令に表示された被保全債権と異なる債権についても、これが上記被保全債権と請求の基礎を同一にするものであれば、その実現を保全する効力を有するものと解するのが相当である。」という考えのもと、本件においては、貸金債権の発生原因事実が、被保全債権となった損害賠償請求権の発生原因事実に包含されていると認定した上で、不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全債権とした仮差押命令が、請求の基礎を同一とする貸金債権の実現を保全する効力も有するものと判断しました。
このように、裁判所においても、保全命令の緊急性を重視する傾向があることから、債務者からの債権回収に不安を感じた場合には、速やかに保全の申立てを行うことに意義があるといえます。民事保全のタイミングなどでお悩みの方は、横浜綜合法律事務所の弁護士にご相談下さい。