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> 第36回 事務所研究会
弁護士:佐伯 昭彦
2014.07.05
スポーツ法の実務~スポーツ事故における教師の責任を中心に
はじめに
スポーツ法研究会
昨年4月に横浜弁護士会の専門実務研究会として、スポーツ法研究会が設立されたが、当職は、同研究会の幹事会のメンバーとして設立時からその運営に携わっている。
なぜ今スポーツ法か
スポーツには、人々を感動させ、勇気づけ、経済を発展させる力があり、われわれの日常生活において不可欠なものである。
その一方で、スポーツの世界は、旧態依然とした封建的な体質の温存に終始し、大相撲の八百長事件やセクシャルハラスメント、いじめ、体罰等の様々な社会問題が発生したり、慣行を理由に不条理がまかり通るなど、一見、法律とは無縁のように思われるものの、実は法律問題の宝庫である。
スポーツ事故の責任論
スポーツ事故が発生した場合に生ずる責任としては、民事上の責任、刑事上の責任、行政上の責任が発生することが考えられる。
責任の主体(教師の責任)
スポーツ事故が発生した場合、指導者、スポーツ施設の所有者・管理者、主催者、競技者の責任が問題となり得るが、ここでは指導者の責任について裁判例を取り上げて検討する。
体育の授業中の事故について
小学校の児童が体育の授業中の事故により後日失明した場合に担当教師には事故の状況等を保護者に通知してその対応措置を要請すべき義務はないとされた事例(最高裁昭和62年2月13日判決・民集41巻1号95頁)
部活動(課外クラブ活動)における競技中の事故について
町立中学校の生徒が課外のクラブ活動中の生徒とした喧嘩により左眼を失明した事故につき、クラブ活動に立ち会っていなかった顧問の教諭に過失がないとされた事例(最高裁昭和58年2月18日判決・民集37巻1号101頁)
部活動(課外クラブ活動)の競技前後の事故について
被告学園の高等学校柔道部の練習場において、被告生徒が後輩部員である被害生徒にプロレス技をかけたことにより四肢麻痺等の後遺傷害が生じた事案で、被告学園としては、本件事故の発生を未然に防止するために、監視指導を強化する等の適切な措置を講じるべき義務があるとされた事例(横浜地裁平成13年3月13日判決・判タ1116号256頁)